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2008年春号(Vol.o37)/02


管理職の取扱い

〔 セントラル社労士法人 河口 剛〕



■管理職に関する問題           
 日本マクドナルドの店長が残業代の支払いを求めた訴えに対して、2008年1月28日に東京地裁は『同社の店長とは管理職とは言えない』として支払いを命じました。この判決は、現段階では第1審ではありますが、外食・小売業等の店長職がある業界にとって、重要な判決となりました。同社の店長職には、アルバイトの採用など一定の権限が付与されていたが、その権限は店舗に限られていたことなどを理由とした判決でした。多くの会社が、管理職に該当するとして取り扱っていた役職者が、裁判では管理職に該当しないと判断されました。では、どんな役職の人が、管理職に該当するのでしょうか。

■労働基準法上の管理監督者        
 労働基準法(以下『労基法』という。)には管理職という概念はありません。管理職に似た概念として管理監督者というものが規定されているのみです。管理監督者とは、労基法第41条第2号に『事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者』と定められている者で、労基法で定められた基準のうち労働時間、休憩、休日の基準が適用されない者をいいます。この管理監督の立場にある者は出勤や退勤などの勤務時間についてある程度の自由裁量を行使しうる立場にあるため、一般の社員と同様に労働時間の規制を受けることにはなじまないと考えられるためです。
 では、『労働時間、休憩及び休日の規定が適用されない』とはどのような意味でしょうか。労働時間に関しては、法定労働時間が適用されなくなり、時間外や休日労働の割増賃金の支払義務もありません。また、労働時間に応じた休憩や、週に1度の休日も会社が確保する義務はありません。つまり、労働時間は、本来であれば会社が管理し、労働時間に応じた割増賃金の支払や休憩、休日を確保しなければなりませんが、管理監督者は、会社が時間管理をするのではなく、管理監督者自身が労働時間に裁量権をもっており、自ら管理するということです。ただし、管理監督者であっても、年次有給休暇、深夜業に関する規定は適用されます。

■管理監督者の判断            
 管理監督者の判断基準は、通達(昭22.9.13基発第27号、昭63.3.14基発第150号)により『経営者と一体的な立場にある者の意であり、これに該当するかどうかは、名称にとらわれず、その職務と職責、勤務態様、その地位にふさわしい待遇がなされているか否かなど、実態に照らして判断すべき』とされており、具体的には、
@労働時間の管理を受けないこと
A賃金面で、一般社員と比べて優遇されていること
B労務管理上の指揮権限があって、管理的な仕事をしていること
などの基準により判断されます。実際の判断は、実態により判断されるため、仮に部長職等部門を管理する立場の者であっても、労働時間管理を他の社員と同じように受けていて、賃金面の優遇がなく、労務管理上の指揮権限がなければ、管理監督者とは判断されません。

■管理職の今後の取り扱い         
 管理監督者に関する紛争は、外食産業に限らず様々な業界で起きていますが、その多くは、今回のように会社は管理職として扱っているが、実際には、労基法上の管理監督者に該当しないというものです。労基法上の管理監督者は、経営者と一体的な立場にある者をいいますが、会社が定める管理職は、必ずしもそうではなく、一般的に部門・部署の管理をしている者を管理職として扱っています。
 今回のマクドナルド訴訟では、店長という一つの店舗を管理している者が、労基法上の管理監督者に該当しないとしました。つまり、部門・部署を管理する者であっても、労基法上の管理監督者に該当する管理職と該当しない管理職があるということです。管理職の待遇を決定する際は、管理職の指揮権限等を考慮し、労基法上の管理監督者に該当する管理職なのか、そうではない管理職なのかを分析し、労働時間管理や賃金等の待遇を検討する必要があります。



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