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■調査の種類と内容
世間一般に言われている労働基準監督署の調査とは、法律用語として労働基準法では「臨検」、労働安全衛生法では「立入り」と呼ばれ、行政用語では「臨検監督」と呼ばれています。
この臨検監督には大きく分けて2つのパターンがあります。
ひとつは「定期監督」で、労働基準監督署がその年度の行政方針を策定し、それに基づいて管轄内の重要業種、重要調査事項を定めて行われるものです。これはリスト化され、原則として監督官が飛び込み巡回するものです。その時に問題点が多く、遵法意識が低い会社であると監督官に判断されれば、労働条件全般に対して調査され、抜本的改善を求められることになります。一方、調査の対応にも誠意が感じられ、行政課題にも問題がなければ、短時間で調査は済みます。
もうひとつは「申告監督」で、労働者から未払い賃金等の法令違反の申告があったときに行われます。この申告監督は労働基準監督署で申告を受理してから、定期監督より優先的に一週間ほどで実施され、会社に監督官が来て調査する他、関係者を労働基準監督署に呼び出し聴き取りを行う場合もあります。監督官は申告した労働者の一方的な話を最初に聴いて、会社側に法令違反の可能性が高いという姿勢で調査に臨むことになるため、定期監督と比べ調査内容もかなり厳しいものとなります。現在、社会問題になっているサービス残業は、過去に遡って多額の賃金を支払うよう指導されていますが、これは申告監督により指導される場合が多数を占めています。
■是正勧告とは
労働基準監督署は、臨検監督により会社の法令違反の有無を調査し、法令違反があれば会社に対し是正勧告をします。これは通常、是正勧告書として書面で交付されます。
この是正勧告の法的意味は行政指導であり、行政処分ではありません。つまり、この是正勧告はあくまで警告的なものであり法的拘束力はないので、これに従わないことだけをもって処罰の対象にはなりません。
しかし、是正勧告されるということは、そこに法令違反の事実が実際に存在するため、その法令違反自体がもちろん処罰の対象となります。監督官は、法令違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行うことができます(労基法102条)。これは、悪質な違反に対し司法警察権を行使して送検手続きをとることができるものです。万が一悪質とみなされ書類送検になった場合は、新聞等にも取り上げられ、会社にとっては社会的な信用の損失となり、取引先への影響も懸念されます。そういう意味では、是正勧告を受けた場合は、速やかにその指摘された法令違反を是正する必要があります。
■最近の傾向
一概には言えませんが、監督官は今現在の法令違反を是正して再発を防止することを大きな目的としているため、定期監督では、未払い賃金に関しても故意または悪質な違反でなければ将来についてのみ正すこととし、過去に遡及して違反を問われることは比較的少ないという印象があります。
しかし、申告監督は違います。監督官も実際に労働者から申告されて、結果を出すことを求められるので、徹底的に調査し、最大で過去2年間分の未払い賃金の支払いを要求することもあります。これは申告労働者だけに止まらず、労働者の全員分を要求される場合もあります。
今までは、申告する労働者はほとんどが不満を持って辞めた退職者でしたが、最近では、労働者自身の権利意識の向上やインターネットの普及で簡単に法律知識が得られるようになった等の理由から、在職者からの申告もかなり増えてきています。在職者からの申告の場合は実際は申告監督ですが、在職者を保護するために名前を伏せて、名目は定期監督として調査することがあります。
また、最近の臨検監督全体の傾向としては、近年の過労死・過重労働問題、メンタスヘルス対策を重要視している点から、健康診断実施の有無などの労働安全衛生法に重点を置いた是正指導が増えてきています。
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