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2007年春号(Vol.o33)/01


飲酒運転と懲戒処分

〔 セントラル社労士法人 服部 克己 〕



■はじめに                
 公務員が飲酒運転で人身事故を起こし、懲戒免職される事件が新聞やテレビで報道される中、民間企業も就業規則の変更などで社員の飲酒運転に対する処分を厳重にする動きが目立っています。仕事中の飲酒運転はもちろん会社は厳重処罰しますが、では、プライベートでの飲酒運転について、企業は懲戒事由として扱うことができるのでしょうか。

■懲戒処分の根拠と効力          
 懲戒処分は、雇用契約や就業規則を根拠に、企業秩序違反をした社員に対して、制裁罰を課すものです。
 社員のプライベートな時間における飲酒・酒気帯び運転については、すぐに企業秩序を乱す行為とはいえず、懲戒処分に該当するかどうかは、慎重に検討する必要があります。裁判例を比較検討してみると、@飲酒量及び運転時の呼気中アルコール濃度A事案が新聞報道等で問題となった等の事例B当該飲酒運転により人身事故等重大な結果を発生させたかどうかC当該会社がバス、タクシー等の輸送機関の事業を営む会社であるかどうかD輸送機関の事業を営む会社である場合、当該非違行為者が運転業務に従事する者かどうか、などの要素が、懲戒処分の正当性の判断に影響されるものと解されます。
 よって、トラックやタクシー運転手等、車両運転そのものを業務としている企業の社員や公的立場である公務員については、社会的地位、信用を侵害する重大な行為であり、厳しい懲戒処分は免れません。一方、その他の民間企業においては、飲酒運転が必ずしも企業秩序を乱す行為とはいえず、懲戒事由には該当しないと考えられます。

■判例でみる飲酒運転での懲戒解雇     
懲戒処分の中で最も重い懲戒解雇について、判例では、飲酒運転により歩行者を死亡させ、禁固10年執行猶予3年の刑が確定した社員への懲戒解雇処分を企業秩序及び社会的地位、信用に重大な侵害をもたらしたとはいえないとして無効とした判決(住友セメント地位確認等請求事件)と、タクシー運転手が業務とは関係なく飲酒運転で事故を起こし、本人は退職したが、同乗していた先輩運転手に対する懲戒解雇処分を飲酒運転を厳しく注意する立場にありながら、容認したことが重視され有効とした判決(笹谷タクシー事件)を見るとその企業の業務内容や社会的責任等を考慮して処分の有効性が判断されていることが分かります。
このようにプライベートの飲酒運転については、バス、タクシー会社等や公務員以外の企業は、懲戒解雇は無理としても社会的批判が高まっていることを考慮し、就業規則の懲戒事由を適正に見直し、懲戒処分にすることが妥当かどうか慎重に検討する必要があります。



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