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2006年秋号(Vol.o31)/01


仕事の心構え(3)

〔 タオ クリエイティブ 代表 加藤 雅晴 〕



(3)仕事の意義を把握する
上司から仕事を与えられるとき、上司がその都度、その仕事の意義を一々説明してくれるとは限らない。上司は、仕事の流れの中で、部下もそれはわかっているはずと思い込んでいることが多いからである。しかし、当事者が仕事の意義を理解していれば、仕事に対するモチベーションは格段に高くなり、良い仕事を成し遂げることに結びつく。
レンガ職人の話がある。あるところで二人の職人がレンガを積むという作業を行っていた。二人とも職人であったから、見事なレンガ作りの作業をこなしていたが、仕事の取り組み姿勢には明らかな違いがあった。一人は、決められた手順に従ってレンガを積んでいるだけで、どことなく迫力のない仕事振りであった。一方、もう一人は、喜々とした仕事振りで、作業の進捗ももう一人に比べて捗っていた。
たまたま通りかかった紳士が両者の仕事振りを不審に思って、彼らに尋ねた。
「君たちは、何をしているのかね?」
前者の職人は、
「旦那、見ての通り、ここでレンガを積んでいるのさ。生きていくのに金を稼がなくてはならないからさ。」
と答えた。一方、後者の職人は、
「ここに教会を建てる為に、レンガを積んでいるのさ。自分の建てた教会で皆がお祈りができるとは素晴らしいことでさ、旦那。」
と答えた。
前者の職人は、単なるレンガを積むという作業を請け負ったという認識しかないが、後者の職人は、教会を建てるという大仕事の一環を担った仕事をしているという自負があった。一方では、単なる作業であるが、他方ではれっきとした仕事であった。
レンガを積む作業と、それによって手間賃を稼ぐということでは、二人の職人にとって違いはなかったが、何のためにレンガを積むかという認識において、両者は全く異なっていた。
仕事を依頼するほうも、仕事を依頼されるほうも、どちらがハッピーかは言うまでもないであろう。
意義もわからずに、ただ、この仕事をやれと言われても、なかなか仕事に対するモチベーションは上がる訳はない。そのときは、上司に確かめるなり、自分なりに仕事の意義付けをすることは重要である。
日本の文化では、言わなくてもわかっているだろうという以心伝心の伝統があるので、上司は部下に明確にそれを言うことは少ないであろう。また、部下としても、あまり率直に上司に聞けない場合が多いであろう。この場合は、自分なりに仕事の意義付けをしてみれば良い。例えば、この仕事を達成することにより、これこれの技術なりノウハウなりを身につけることができ、仕事をする前より一段とレベルアップできるといった個人レベルのものでも一向に構わない。
見当違いの意義付けでも、自分のモチベーションを上げて楽しく仕事ができれば、いやいや仕事をやらされるよりはよほど良いことに違いない。
こういった点を考慮して、上司の方も部下に仕事を依頼するとき、以心伝心ではなくて適切な指示を出していただきたいものである。

(以下続く)

加藤雅晴氏略歴:ソフト会社役員を経て、今春から大学講師として『情報倫理学』を教える。



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