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2006年夏号(Vol.o30)/02


仕事と生活の調和への模索

 〔 セントラル社労士法人 服部 克己 〕



■行政の動き
 平成18年1月27日に厚生労働省から「今後の労働時間制度に関する研究会」(以下「研究会」という)の報告書が公表されました。ここではまず、現状認識として「ホワイトカラーの増加と働き方の多様化が進み、その中でも自律的に働き、かつ労働時間の長短ではなくその成果や能力などにより評価されることがふさわしい労働者が増加」していることが挙げられるとし、これに対応するために自立的な労働時間制度を創設するとともに「生活時間を確保しつつ仕事と生活を調和させて働くことを実現するための見直し」として年次有給休暇と時間外・休日労働について以下のような提言がされています。

■年次有給休暇
 年次有給休暇は、現在の労基法では社員が時季を指定すれば有給休暇が成立し、業務に支障がある場合に使用者が時季変更権を行使できるものですが、取得状況を見てみますと、取得率は50%、約7割の人が他への迷惑や後日の多忙を理由として有給休暇の取得を躊躇しています(厚生労働省調べ)。健康維持、推進の観点からもまとまった休日の取得が必要であることから、研究会は、使用者があらかじめ一定の日数について取得日を決定することにより確実に有給休暇を取得させることを義務付けることを検討しています。また、労使協定を結んで、各人5日の休暇を残して事業場で一斉に、または各班ごとに休暇の時季と日数を定めて年休を計画的に消化する計画的付与(労基法39条第5項)についても1年をいくつかの時期に分割し、その時期ごとにその都度付与日数を設定するといった柔軟な設定方法を可能にすることで活用促進を進めたり、1週間程度の連続休暇を計画的に取得させることや、未消化年休の取得計画の作成などの方策も検討されています。
 有給休暇の変則的消化方法としては、細かな取り決めは必要ですが、時間単位で有給休暇を取得できるような取扱いや退職時の未消化年休について、手当で清算する制度を設けることも考えられています。

■時間外・休日労働
 研究会は、時間外労働が長時間化している実態から、社員をこのような長時間労働から解放し、健康を確保することが重要としています。報告書では、法定労働時間を超えて労働する時間数が一定の時間数を超えた場合などについて、割増賃金の支払いに加え、その時間外労働の時間数に相応する日数の休日(代償休日)など、働くことを一定期間免除することを義務付ける制度の検討を進める必要があるとしています。
 また、代償休日の日数換算は通常より高い割増率で行うこと、実際に代償休日を与えなかった場合は割増賃金の算定に高い割増率を適用することなどの検討も加わりそうです。

■考察
 年次有給休暇に関して、人員に余裕のない中小企業では事業の運営に現実的な支障が生じる場合も出てくることが考えられます。研究会の報告でも、働く側の権利として規定するのではなく、会社側に一定の主導権を与えた上で義務付けているところに制度化する難しさが伺えます。
 一方、時間外・休日労働については、過労死・過労自殺の増加、長時間労働の恒常化、サービス残業に対しての労働基準監督署の積極的な調査活動などから見ても、時間外・休日労働への法的規制の必要性は否めないかもしれません。割増率についても、1週40時間、1日8時間を超える労働に対する割増賃金は「25%」ですが、一定時間数を超えた労働に対する割増賃金は「50%」にするという案が研究会では有力です。また、一定時間数についても時間外労働の上限や、過労死労災認定基準等にある1ヶ月45時間、80時間、100時間が想定されています。代償休日については、労務提供と賃金支払という労働契約の基本的な対価関係から考えるとかなり無理があるように思われます。
 いずれにせよ中小企業にとっては、事業運営に大きく影響することなので、今後の動向について注目していく必要があります。



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