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2005年春号(Vol.o25)/03


取り残された中堅ミドル層

〔 セントラル社労士法人 内堀 克俊 〕



■会社は絶えず外部環境に適合して、変化し続ける必要があります。人事制度は、その改定を含み、基本的に社員の外部環境に適合した成長を主眼とし、その結果として企業の成長(売上利益の拡大)につながって、初めて意味を持つようになります。
 人事制度を構築(改定)すれば、社員は自然に成長し、業績は向上するかというと、それは全くの幻想に過ぎません。人事制度というボディーをスムーズに前進させるには、モチベーション・ヤル気というガソリンを常に供給して能力開発というエンジンを常に良い状態で回転させる必要があります。
 能力開発の基本は、会社の方針・方向性に合わせた能力発揮に焦点を合わせて、社員の現有能力を適度にストレッチしたレベルの適所(質又は量)に配置・再配置(いわゆるジョブローテーション)し、OJT・off-JT・そのベースとしての上司と部下のコミュニケーションを確実に実施することです。

■会社の業績低迷は、能力開発が2つの層で停滞しているのと密接に関連しています。
 2つの層とは、40歳前後で管理職相当の年齢になっているミドル層と、30歳前後で一人前の中堅社員になり切れていない層を指します。前者は、管理職層に成長することを期待されている層で、後者は、監督職層に成長することを期待されている層です。
 管理監督職層がそれぞれ適切に機能すれば、業績は確実に向上しますが、現実には、ミドル層が管理職になりきれず(専門職としても中途半端)、中堅層が一人前になり切れていない等、この層がうまく機能していない結果、すぐ下の層も当然ながら成長していません。
 結局、25歳から45歳位までの、付加価値を実際に稼ぎ出す中心層が、自らの役割を明確に認識しないまま、中高齢化してしまっています。

■能力開発というと、中小企業の場合は特に、現業の一般職層の能力開発のことに目が行きがちですが、そのためにも実は中堅ミドル層の強化が重要なテーマとなっています。
 ミドル層においては、期待される能力、つまり職能要件を明確にし、それをしっかりと理解させ、能力開発することが必要です。人事評価では、この層が第1次評価者となりますが、この層の職能が不十分なら、評価は適正さを欠き、一般職層の育成も阻害されてしまいます。せっかく時間とコストを掛けて人事制度を構築しても、結局、ミドル層が育成評価をできないばかりに、制度全体が機能しなくなってしまいます。
 中堅層においては、20歳代で数回のジョブローテーションを経験させ、通常業務は独力で、完璧にこなせる状態に成長させること、複数の職場を経験する中で、自らなすべきことを体得させることが会社の責務となります。やはりここでも、期待される能力を明確にし、それをしっかりと理解させ、能力開発することが必要です。
 この層は、20歳代の若手社員の模範になるため、模範的な態度、会社「組織」に対する自覚、自発的に考え動くことを能力として要求され、育成されねばなりません。

■名目上、中堅層が係長・主任、ミドル層が部長・課長、その上は経営陣といった組織体制が中小企業では非常に多く見受けられます。この体制だと経営陣から一般職層までが非常に近い距離にあるので、中堅ミドル層の頭越しに経営陣が一般職層に指示を出すため、結果的に中堅ミドル層を形骸化させている例が見受けられます。
 中堅ミドル層の能力開発は、経営陣が自覚と責任を持って取り組まねばなりません。ジョブローテーション・OJT・off-JTは中堅ミドル層においても実施しなければならず、コミュニケーションは経営陣と中堅ミドル層において、質量ともに充実させねばなりません。



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