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2004年春号(Vol.o21)/03


行動と意識

〔 セントラル社労士法人 内堀 克俊 〕



■工場の通路に紙くずが落ちています。しかし、その紙くずを拾い、ゴミ箱に捨てる人はなかなか現れません。
 紙くずに限らず、似たようなことは、様々な場面でよく起こりがちなことです。

■紙くずを拾って捨てることにも、行動・意識レベルで様々な段階があります。
 まず、その紙くずが視界に入っていない段階です。これは、完全に物理的な理由によるものなので、この場合は物理的に解決するしか方法がありません。
 次に、視界には入っているが、単に「風景」の中の模様程度にしか映っていない段階です。「考え事をしていると、目に入らない」と言われますが、これも同じで、景色自体が模様程度にしか見えていない状態で、意識の目に入らないということです。
 また、目には見えていて、風景の中に白い紙切れらしいものが見えてはいるが、それが紙くずだとは認識できない段階です。物理的には認識できたが、それを拾ってゴミ箱に捨てる必要がある物体だという認識ができないためです。
 次は、目に見えていて、紙くずということも分かってはいるが、ゴミ箱に捨てるべきもの、即ちゴミだという認識には至っておらず、まだ何らかの行動に移行することがない段階です。
 これに類似発展したものが、ゴミ箱に捨てるべきものだという認識には到達しているが、行動には移さないというものです。行動に移さない理由は様々でしょうが、自分がゴミ箱に捨てなければいけないという認識がないからか、認識はあるが何らかの理由で行動したくないからといったものが主な理由だろうと思います。

■「工場内に落ちているゴミは、気づいたらすぐに拾い、ゴミ箱に捨てること」というルールを作り、朝礼で発表したとします。
 しかし、発表を聞いただけで、次の瞬間から常にそのルールを意識し続けて、実際に実行し続けることができる人が100人のうち何人いるでしょうか。意識が行動を起こさせるような人は、おそらく、数えるほどしかいないのではないでしょうか。ほとんどの人は、もっと手前の段階で留まってしまいます。発表を聞いただけでは、行動まで辿り着けません。しかし、それが、現実です。

■ルールを作って発表しただけでは、行動レベルまで意識が高まりません。ルールというハードだけ整備して、意識というソフトに何も手を加えなければ、つまり機能(適正な行動誘発)しません。
 実際の組織の現場では、目の前の現実を基点に物事を進めていく必要があります。ルールが徹底されていないという現実があれば、そこを基点に考えて、ルールを守らせるよう、常日頃から積極的に働き掛け、意識づける努力を、本気で、しかも根気よく取り組み続けねばいけません。
 働き掛けは、意識の芽が出る土壌を作り、意識の種を蒔き、意識を育てることにつながります。よく使われる「意識を植え付ける」ためには、積極的働き掛けが不可欠です。

■ルールは、組織が構成員に対して望む一つの姿であり、組織の価値観の一つの表れです。従って、組織は、構成員がそのルールへ向かうように積極的に働き掛け、仕掛け仕向ける必要があります。
 別の見方をすると、ルールは、行動・意識を醸成するためのツール(仕掛け)の役割も果たします。従って、ルールなどのツールを有効に活用し、行動・意識レベルを少しでも高めて行くことが、組織の価値観の実現には必要不可欠です。

■組織が自己実現するためには、たかが紙くずと軽く流さずに、積極的に紙くずを利用して、構成員の意識レベルを少しでも高め、組織の望む行動を誘発する必要があります。



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