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2004年新年号(Vol.o20)/03


目に見える管理

〔 セントラル社労士法人 〕



■人間は何の生き物でしょうか。人間に備わっている五感のうちで、その人の行動に影響を及ぼすのは、視覚が86.6%を占めているということです。
 視覚がこれほどまでに影響力を持つのは、一つは、目に見える映像の情報量の多さだと思います。言葉に表すと膨大な量になるようなものでも、見ればすぐ分かってしまうことはよくあります。また、一つは、色や形、動きなどの感覚的なものは感情に訴えかけやすいからです。結果論的な言い方になってしまいますが、これらは非常に分かりやすいからだと思います。

■感情に訴えかければ、人は感情の自然の作用に基づいて自然に動くことができます。
逆に、感情でなく理性とか知性に訴えかけることは、まず第一に難しいということと、たとえ訴えかけに成功したとしても、理性や知性で行動できる人は少ないということです。
感情に訴えかけるには、人の行動に最も影響を及ぼす視覚に働きかけることです。従って、いかに物事を視覚化するか、または視覚レベルまで物事を簡素化・単純化・具体化して分かりやすく、伝わりやすくすることが必要となります。また、そこに会社の知恵やノウハウが集まり、競争力ができて行きます。

■会社や工場に行くと、目に付く所にスローガンが大きく掲げてあったりします。スローガンを読むと、「納期厳守」とか「作業スピードアップ」といった言葉が書かれています。
 張り出されているという意味では「視覚化」されているともいえますが、感情に訴えかけて行動を起こさせるものではありません。「ただ書かれている」レベルにとどまっています。
 視覚に訴えるというのはこういうことでなく、行動を変化させるレベルまで落とし込まれているということです。

■私たちは、会社の中で相手に伝えようとしたとき、話すにしろ書類を渡すにしろ、ほとんどが言葉で行おうとしています。
 毎朝、朝礼で高尚な経営理念や社是を唱和している会社も多いはずです。これらは一般的に抽象的な表現で書かれており、それ自体は、具体的に何をすればいいのかを何も伝えていません。
 分かりやすいところでは「お客様第一」とか「顧客満足」を唱える会社も多いようですが、何百回何千回と唱えれば、この言葉に対する経営者の思いと同じ内容の思いを社員さんが共有することができる(はずだ)と思い込んでいます。
 しかし、受け取る側の社員さんは、当然、経営者とは生まれも育ちも、そして立場も大きく異なるため、当然ながら経営者の意図とは離れたところで解釈します。
 このあたりの仕組みを全く理解せず、経営者は「うちの社員は経営理念を理解しておらん!」と愚痴を言ったりしますが、理念を共有するためにしなければいけないことを特に何もせず、唱和のみさせているのが現状です。

■物事は、抽象的であればあるほど、目に見えず、分かりにくいものです。経営理念にしろ、普通はきれいにカッコ良く作るので、自ずと曖昧で様々な解釈ができ、「これってどういう意味?」と説明が必要なものになっています。従って、その意味するところは、受け手各人の能力に依存せざるを得ません。
 工場の現場管理でも、抽象的な管理であればあるほど、受け手の感情からは遠ざかり、意図した効果を上げることができません。
 「色・絵・グラフ」を使用し「一目瞭然」に「自然に目に入る」ような、もっともっと目に見える管理の仕掛け作りに全社的に知恵を絞らねばなりません。
 くれぐれも、人間は「目の生き物」だということをお忘れなく。



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